スポーツにおける4Pと4Cとマーケティング・ミックス
マーケティング活動を行う上で中心となるべき概念がマーケティング・ミックスです。
マーケティング活動の目標を達成するためには下記の「4つのP」を最適に組み合わせる必要があります。
また、最近では、マーケティング・ミックスを「4つのP」だけでなく「4つのC」も含めて考える方法も登場しています。
ここではまず、スポーツにおけるマーケティング・ミックスである「4P」と「4C」について述べ、その後、「4P」の各要素について詳しく述べることにします。
マーケティング・ミックスの4つのP
マーケティング・ミックスには4つの要素があります。
❶ Product(製品)
マーケティング・ミックスの中でも、プロダクトは特に重要です。
仮にほかの要素が最適で、一度目は購入されたとしても、プロダクトに難点があれば同じ顧客が同じプロダクトを繰り返して購入する確率が低くなくなるからです。
新製品を市場に投入する場合は、自社がターゲットとするセグメントを見極め、そのニーズに対応することはもとより、品質や機能、外観などの点で既存製品との差異を際立たせる必要があります。
その作業があいまいにしかできていない場合は顧客へのインパクトに欠け、新製品投入の効果が半減してしまうことがあります。
スポーツにおけるプロダクトは、スポーツプロダクトなどと呼ばれています。
これには、スポーツで使用するやウェア、その他の道具類が含まれます。
また、クラブチームなどが行う試合、イベント、観戦ツアーなどもスポーツプロダクトです。
さらに、フィットネスクラブなどが提供する教室やトレーニング指導なども含まれます。
❷ Price(価格)
価格とは、プロダクトの値段ですが、厳密にいえば消費者が購入するプロダクトやサービスと交換する「価値」を指しています。
例えば、サッカーの試合では、Jリーグよりも日本代表戦のチケット代の方が高く設定されます。同じサッカーでも2010年のFIFAワールドカップの決勝戦のチケットは、日本円で約8万円もしたそうです。
その他の例では、テニスの大会としては非常に有名なウィンブルドン大会の場合、センターコートで行われる試合の観戦料が他のコートより高く、さらに決勝に近付くにつれ値段が上がっていきます。
このように価格設定には、たんに利益を確保するというだけでなく、顧客にとっての価値を踏まえた価格設定がなされる場合が多いです。
ただし、価格によって顧客がプロダクトのステータス、イメージを決めてしまうこともあるので、慎重に設定しなければなりません。
また金額以外にも支払方法の選択肢をどう設定するかという点も検討する必要があるでしょう。
詳しい価格設定の方法については後ほど紹介します。
❸ Place(場所・チャネル)
4Pの要素としては「場所」となっていますが、店舗の立地、売り場の確保などの場所に関する戦略に限らず、プロダクトが消費者に届くまでの流通チャネルの選択も対象となります。
例えば、スポーツ用品やチーム関連グッズの場合、試合会場やスポーツ用品店などがポピュラーですが、本拠地の商店街で扱うこともあるでしょう。
また、観戦ツアーや試合チケットの販売チャネルなどもよく検討する必要があります。
FIFAワールドカップのチケット販売においては、毎回様々な問題が生じています。
こうした事態はスポーツマーケティング上、心すべき問題だといえるでしょう。
❹ Promotion(促進)
企業イメージやちょっとしたことがきっかけで消費者がそのプロダクトを購入するかどうかを決めることも少なくありません。
2010年に開催されたFIFAワールドカップのときには、試合で大活躍をした本田圭祐選手のレプリカユニフォームや本田モデルのサッカーシューズが飛ぶように売れました。
このことは企業側がすべて意図的に行った結果かどうかは定かではありませんが、こうした製品購入のきっかけを意図的に作り出すのがプロモーション(促進)です。
プロモーションには、広告、人的販売、パブリシティ*誘導はもとより、イベントやキャンペーンなどの販促(SP:セールス・プロモーション、すなわち、販売促進)も含まれます。
いかにプロダクトが優れていても、そのことが消費者にうまく伝わらないと購買にはつながりません。