スポーツツーリズムとは、旅行スタイルの一つと考えればよいでしょう。
旅行といえば、ふつうは目的地周辺の観光を楽しむことがメインとなります。
しかし、スポーツツーリズムでは、観光に加え、目的地で「参加型」「観戦型」、さらにはスポーツを「支える」人々との交流や地域との連携を楽しむことをも目的に含んでいます。
つまり、スポーツを切り口としながら、リゾート、アクティビティ、そしてアミューズメントの要素が含まれているわけです。
参加した人たちは、周辺の景色や施設を観て、買い物や食事をするだけでなく、スポーツを様々な角度から楽しみ、さらには現地の人々と交流することで、思い出が何倍にも膨らむことでしょう。
もともと、スポーツツーリズムでは、競技者たちの合宿や遠征が定番でした。
しかし、日本がはじめてFIFAワールドカップに出場したときに、商品としての観戦ツアーが登場し、新たな市場が生まれました。
それまでは、合宿や遠征も含め、自分がスキーをする、登山をするなどの参加型のツアーが多かったのです。
ところでツーリズムには、「インバウンド型」と「アウトバウンド型」があります。
インバウンド(inbound)は、「入ってくる、内向きの」という意味で、アウトバウンド(outbound)は、「出ていく、外向きの」という意味です。
つまり、ツーリズムでのインバウンドとは主に外国人旅行者を国内に誘致することを指し、その反対に日本人が海外に出ていく旅行はアウトバウンドです。
現在、日本でインバウンドが盛んなスポーツとしてスキーが挙げられますが、観戦としては、相撲、F1などが挙げられます。
相撲は海外公演を行っていることもあり、海外でも人気を集めています。
また、F1などの世界でシリーズ的に行われるスポーツは、インバウンド、アウトバウンドのいずれも非常に有力なスポーツとなります。
ツーリズムと他の要素を組み合わせたものには、エコツーリズムやメディカルツーリズムがあります。
エコツーリズムとは、簡単にいえば環境保護を意識したツーリズムです。
また、メディカルツーリズムとは、観光と医療サービスを組み合わせたツーリズムです。
特にメディカルツーリズムは、日本の医療技術の水準が高く、費用対効果も大きいことを背景に、今後の成長株として注目されています。
観光政策として期待されるインバウンド型スポーツツーリズムを増やすためには、国内のスポーツ組織や団体の他、国内で活躍する外国人選手が中心となり、海外に大きく働きかけることはもとより、国内の外国人に対しても日本のスポーツの魅力を積極的にアプローチするなどの工夫が必要でしょう。