スポーツチームの意義と役割:社会事業の7つの視点

スポーツの意義と役割

スポーツチームの意義と役割

従来は、スポーツチームの設置は、その大半の目的が企業イメージの向上でした。

例えば、企業がバレーボールチームを持ったり、社会人野球チームを持ったりすることです。

しかし、たんなる企業イメージの向上といった広報的な役割から脱却して、収益事業として社会に貢献する役割を果たすには、ビジネスとしての要素や理解、方向性が必要になります。本書でいう「営む」の立場です。

財団法人日本サッカー協会(JFA)は、JリーグやJFL、なでしこリーグ他、多くの国内の公式サッカー大会を主催し、またサッカー日本代表の国際試合についても統括しています。

その他プロ・アマの活動を一本化して管理し、サッカーの普及・振興活動はもとより、選手育成などを行う社会に貢献する事業体といえるでしょう。

予算や決算、活動についての事業計画なども公式サイトや機関誌で公開しています。

もちろん、事業体として巨大な日本サッカー協会の取り組みを参考にすることは現実的ではありませんが、社会貢献事業としての7つの視点を理解するには、好例といえます。

その他の例としては、メジャーリーグ機構(MLB)などの活動も社会貢献事業として高い機能と役割を担っています。

本拠地としてメジャーリーグのチームが地域に存在することで、その地区や周辺一帯をも活性化させます。

メジャーリーグのチームを核として、周辺施設が整備され治安維持も進み、住民同士の結び付きの深まりやコミュニティとしての機能も期待できます。

また、他の地域から観戦にやってきたファンたちがその地区に利益をもたらします。

こうしたことがあいまって、地域の活性化につながり、やがては経済への好影響として税収の増大などへとつながるのです。

近年、メジャーリーグ機構は、野球の普及と発展に積極的に取り組み、野球とソフトボールの競技人口の拡大を主な目的に、2006年2月カリフォルニア州コンプトンに、年間を通じて地元の小、中、高校生を対象に無料プログラムを提供する「アーバン・ユース・アカデミー」が開設されています。

また、施設整備などに携わる人は、地域住民が雇用されています。

この施設は、一般にも開放されており、審判の講習会や大会などにも使用されています。

第2回WBC(ワールドベースボールクラシック)では、ドジャースタジアムで行われる準決勝・決勝の進出チームの練習場として使用されています。

その際、アーバン・ユース・アカデミーの子供たちが、練習の手伝いをしています。

この取り組みは、野球を通じた教育の他、地域活性化などに貢献しており、結成されたチームと日本の高校生との親善試合などの国際交流も行われています。

このコンプトンでの取り組みの成功により、2010年4月に2ヵ所目となる施設をヒューストン郊外に開設しています。

社会貢献事業は、すべてが無報酬という訳ではありません。事業として継続的に行っていくためには、何らかの方法や形式で、運営コストや収益を上げなければなりません。

この点のバランスをよく検討した上で、以下、7つの視点にある課題に取り組んでください。

それでは、次の項目から、この図に沿って順にスポーツを通じた社会貢献事業における7つの視点について説明します。

スポーツの社会貢献事業

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