スポーツの事業化と育成:社会事業の7つの視点

スポーツ育成

スポーツの事業化と育成活動

次に育成についてですが、こちらは選手やコーチ等が、新たなプロダクトの構成要因を育てることを主な目的に行います。

もちろん、すべての育成対象が順調に成長するわけではありません。

しかし、この育成事業をしっかりと行っているスポーツ組織とそうでない組織とでは、将来期待される成果に大きく影響する事例は、多く存在します。

JFAを中心とするサッカーの育成システムは、先のアジア大会での日本代表の活躍は、将来を見据えた成功例として周知の事実です。

また、野球界においても読売ジャイアンツの育成選手の活躍は、野球界全体に大きな影響を与えました。

このことは、規模にかかわらず事業組織にとっては、非常に重要な取り組みです。

実際の収益事業として考えた場合、小規模イベントやスポーツ大会の実施などの他に、常設スクールの開校が挙げられます。

ちなみに、スクール運営は、チームなどを持たない組織でも行うことができます。

スクール事業は、運営状況が悪くなったので運営コストを稼ぐために行うといった考えでの実施は、本来の目的ではなくあまり上手く機能しません。上手くいかない理由として、価格の設定ミスが起こりがちなためです。

本書の6-3節「スポーツにおける価格戦略」で、価格の設定方法について説明している方法をとらず、組織全体の運営コストから必要な金銭を算出するといったことがあるからです。市場性や価値、事業の方向性や展開といった事柄より、まずは必要な資金を稼ぐといった、たんなる手段になるのです。

こういったことにならないように、スポーツ組織として取り組む場合は、スクール開校の意義や方向性を事前によく検討した上で、明確にしておく必要があります。

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