ステークホルダーたるファンを第一とし、その他多くのステークホルダーを大切にする
スポーツ組織のステークホルダーとは、ファン・顧客・選手・対戦相手・自治体・地元の組織・スポーツ組織・取引先・メディア・株主スポンサーの利害関係者を指します。
現在、スポーツビジネスにおけるステークホルダーを「する」「観る」「支える」の3つの立場に分類し、スポーツビジネスやスポーツを柱とした事業展開や学術的な研究など、多くの取り組みが行われています。
これは、「する」「観る」「支える」が、スポーツ事業における出発点として考えられているからのようです。
しかし現実には、この考え方では、各ステークホルダーの状態と立場を分けているに過ぎず、スポーツビジネスやスポーツマネジメントを考え、実践していくには必ずしも適切とはいえません。
スポーツ事業に取り組んでいる方はすでにお気付きだと思いますが、継続的に事業として「営む」という立場や視点が欠けているからです。
「営む」という立場や視点は「支える」の中に含まれる、と理解している方も多いかもしれません。
しかし、実際は「支える」の立場に当たるステークホルダーとは、ボランティアなどの無報酬でスポーツ事業に関わる方々や自治体、地元組織などを指しているのです。
また、「支える」という視点は、スポーツビジネスでは、「する」「観る」の立場と同様にビジネスの対象そのものとなる場合が多いのです。
よって、当然のことながらスポーツマネージメントやスポーツマーケティングを実際に行う場合は、「営む」という立場での取り組みが最も重要となります。
スポーツビジネスでは一般的に、スポーツ団体や組織がスポーツを活用してビジネスを行います。
この点からもわかるようにスポーツビジネスでは、「営む」という立場や視点ですべての事業活動を理解することが、非常に大切であるといえます。
したがって、スポーツビジネスにおける「スポーツマーケティング」の理解や方向性を考える場合、一般的な「する」「観る」「支える」という視点に「営む」を加える必要があるのです。
スポーツ事業における出発点 → → →「する」「観る」「支える」
では、「営む」の視点でステークホルダーを大切にするとは、どのようなことでしょうか。
コトラーは、「ビジネスにおいては、顧客を愛し、競争相手に敬意をもって接しよう」と説いています。
顧客を愛するのは当然ですが、競争相手がいるおかげで、自社の強みと弱みも知ることができ市場全体が拡大する、というわけです。
これは、スポーツに言い換えると「ファンを第一とし、その他多くのステークホルダーを大切にする」ということです。
ビジネス同様にスポーツの場合も、ファンやスポンサーなどを大切にするだけではなく対戦相手や他の競合チームにも敬意を払う必要があるというわけです。
考えてみれば、ファンに「試合」というプロダクトが提供できるのも、少しでも強くなろう、良いチームになろう、多くのファンに応援してもらおうと努力するのも、互いに切磋琢磨できる他チームがいればこそ、ということを忘れてはならないのです。
ファン、スタッフ、その他関連するステークホルダーと協力して価値を高める
もちろんステークホルダーは、ファンやスポンサー、競争相手だけではありません。
選手、チームのスタッフ、チームの本拠地の住民など、実にたくさんのステークホルダーとの関係によってチームが成り立っています。
「マーケティング3.0」の発想に基づけば、「提供者vsステークホルダー」という関係ではなく、共に協力して価値を創造し、高めていく必要があるといえるでしょう。
スポーツにおけるステークホルダー
- ファン
- 顧客
- 選手
- 対戦相手
- 自治体
- 地元の組織
- スポーツ組織
- 取引先
- メディア
- 株主スポンサー