自治体の役割
自治体もまた、スポーツビジネスを行う上で必要不可欠なステークホルダーです。
特に本拠地がある自治体とは公共施設の利用面やその他の面で協力を仰ぐことが多くなります。
スポーツ組織の運営がうまくいかないと自治体や地元の組織に直接的な悪影響が及ぶことになりますので、常に連携を図っていかなくてはなりません。
連携をうまく図れれば、施設だけでなく観客動員などの面でも協力を得られることもあります。
自治体が積極的に観客の動員に協力しているケースとしては、Jリーグのアルビレックス新潟があります。県内の回覧板を試合等の告知スペースとして利用しています。
これは自治体が持つメディアチャネルをそのままスポーツチームに貸し出している好例です。
自治体は、スタジアムや体育館といった公共施設の管理運営権を有しています。
この他に金銭的な負担が必要なスポーツビジネスに深く影響するスポーツ施設等の公共の場の利用やコスト面で率先して協力しています。
また補助金や設備投資などの面で自治体がチームやスポーツクラブをサポートしている事例も多く存在します。
スポーツビジネスにとって地元の組織とは共存共栄の立場と考え、活動することが大切です。
地元の各種組織・団体の役割
地元の組織とは、具体的には地元の有力企業、財界人、商工会議所やロータリークラブ等の地元に密着した組織、さらには商店街や地域住民
による組織などです。必要以上に地元にこだわる必要はありませんが、効率良く地元と協調する戦略は考えておきたいものです。
一般にそのチームが本拠とする地元の住民は、チームへのロイヤルティ*が高い傾向にあります。
野球チームでいえば阪神タイガースが好例です。
関西地区出身あるいは居住している人たちの中には、多くの阪神ファンが存在します。
その中でも熱狂的な一部のファンは、自らの負担でチームに関わろうとします。
これらのファンは、熱心であるがゆえにときには厳しい目を向けることもありますが、チームにとっても地域社会にとってもかけがえのない存在であることに違いはありません。
自治体や地元の組織との関わりで考えておきたいのは、チームが大都市を本拠地とする場合と地方都市を本拠地とする場合では、状況が異なるということです。
先に挙げたアルビレックス新潟などの例でもわかるように、地方都市の場合、チームがそれほど多くないので地域で盛り上げようと協力してくれるケースが多いです。
しかし人口が大都市に比べてかなり少ないので、単一のチームだけでは資金や観客を集めづらいというデメリットがあります。
一方、大都市の場合は人口が多いため、単一のチームでも人気や認知度が高ければ資金や観客を集めることが可能です。
しかし同じ地域にいくつものチームが存在するため、自治体などの協力を得にくいという側面もあります。
自治体や地元の組織だけではなく、国家との関わりや協力、後援・支援を受ける態勢づくりもしておくことが重要です。