ステークホルダー|メディア・情報配信事業者(1)-2

メディア

メディア・情報配信事業者と良好な関係を築く

スポーツ組織にとって放映権料は貴重な収入源です。

スポーツビジネスにおいては、メディアとの関わりについても深い理解が必要です。

特に放映権料などのメディアから得る収入は、スポーツビジネスの運営に大きく影響します。ですからメディアは非常に重視すべき優先順位の高いステークホルダーです。

報道によれば、2008年に開催された北京オリンピックに関連して、IOC(国際オリンピック協会)が獲得した放映権料は、約25億ドル(当時の為替レートで2,600億円)に上ったそうです。放映権料は、オリンピック収入の約50%に上るともいわれています。

オリンピックの放映権料は、年々高騰の一途をたどっており、中継時間を優先する傾向を問題視する声もありますが、それでも放送する価
値があると各国メディアが判断すれば、高額であっても放映権料を支払ってでも放送を行うという選択をします。

NFL(National Football League、アメリカンフットボールのプロリーグ)では、スカイカムの手法が使われています。

これは高所にワイヤーを張り、それをレールとして複数台のカメラを移動させながら撮影するもので、臨場感あふれる映
像を視聴者に届けることができます。

この手法をもともと行っていたのはXFL*で、選手や審判にカメラを付けてエンタテイメント性の高い演出を行い、高い視聴率を獲得しました。

しかしながら試合のレベルが低かったために観客動員数を維持できず1シーズンで終了という結末を迎えました。

このことからわかるように、エンタテイメント性は一般層を取り込むには効果的ではあるのですが、試合のレベル、つまりスポーツプロダクトの質が伴わない場合は、一般層もコア層も失う可能性が高くなるので注意が必要です。

日本に視点を移すと、放映権料が年々下がるケースも出てきています。

一例を挙げると日本のプロ野球オールスターゲームの放映権料がそれにあたります。

2000年以降、1試合1億円程度が相場だったのが、2009年は8000万円に、2010年には一気にその半額の4000万円になったそうです。

こうした事態を打開するには、NPB(日本野球機構)としてプロジェクトチームなどを設立し、各チームと協力して大きな収入源のメディアとより積極的に連携を図る必要があるでしょう。

また場合によっては、映像コンテンツを資産と捉え、NFLが設立した「NFLフィルムズ*」のような取り組みを行うのも一つの方法かもしれません。

また米国ではPPVにおけるメディア収入が伸びているスポーツが出てきています。

PPV(Pay Per View)は、番組を視聴するごとに課金されるシステムです。

米国では特にボクシングやUFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ:総合格闘技団体)、WWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント:ストーリー性を重視したレスリング団体)などでは、PPVの収益がかなりの割合を占めています。

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