ターゲティングとは、(市場の選定) ★Targeting
マーケティング上、セグメンテーションは有効な手段ですが、それだけでは不十分です。
セグメンテーションの項目で用いる軸の例の表にもありますように、実に様々な種類や項目に分けられます。
そこで、分けたセグメントから、自社に有効なものに絞り込み、そこに経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報、ブランド、技 術など)を集中することが重要です。
この作業をターゲティングといいます。
スポーツ消費者の場合、実に様々なセグメントに分かれます。
年齢は小さな子どもから高齢者まで含まれますし、目的も体重コントロールやストレス解消、仲間との交流など様々です。
頻度についてもほぼ毎日のように利用する人もいれば、月に1~2 度さらには年に1~2 度といった具合です。
このようなことから、1 種類のスポーツプロダクトのみですべての市場にアプローチしようとすることは必然的に無理なのです。
そこでターゲティングの登場です。
例えば、フィットネスクラブがランチタイムに、周辺のビジネス街で10 分程度の簡単な運動アドバイスのサービスを提供するとします。
この場合、ターゲッ トは主にビジネスマンやOLです。
ターゲティングでは、数多くのセグメントの 中から、対象の規模や人数、売上見込み、市場の成長性、収益性などを分析した上で、ターゲットとなるセグメントを選定します。
ただし、規模や人口、成長性や収益性が大きいセグメントは魅力的に見える のですが、多くの競合がひしめいている、いわゆるレッドオーシャン*状態では、せっかく参入しても勝ち残れる可能性が低くなってしまいます。
単一のターゲットを対象とするのではなく、複数のターゲット・セグメントを選定する場合もあります。先ほどのフィットネスクラブの例では、基本的にスポーツをする場がほしい人や運動を好んでしたいと思う程度の人たちしかターゲットとなりえません。
しかしフィットネスクラブのプールを高齢者に一定時間開放して水中歩行教室をすれば、運動が苦手な層を取り込むこともでき、他のセグメントを加える可能性も出てきます。
あるいは、マッサージやエステなどを併設すれば、リラックスを目的とした女性客などを取り込むことも可能となり、ターゲットは格段に広がります。
野球の事例を挙げると、楽天やソフトバンクなどは、従来男性に好まれることが多かった野球に対し女性客にも親しんでもらおうと、女性客に特化したアプローチをいち早く取り入れています。
楽天は、「女性のための野球教室」を2007 年から開催しており、野球のルール、実技、実生活で利用できる栄養学などの講座を開いています。
実技としても、技として筋力や持久力を鍛えるトレーニングなどが行われています。
ソフトバンクは、「女性のための野球観戦講座」というウェブページを立ち上げ、野球のルール説明やイケメン選手の紹介、ドーム内のグルメガイドやショッピングガイドを掲載しています。
この他女性向けにピンクを基調としたチーム関連アイテムも提供しています。
競馬の場合も、JRA(日本中央競馬会)や各競馬場が女性向けの競馬教室や子ども向けのイベントなどを開催しています。
こうした取り組みは、新たな顧客層を開拓するためのターゲティングと捉えることができるでしょう。
*レッドオーシャン すでに多くの競合が参入している市場。