プロダクト・ ポートフォリオ・マネジメント(PPM)をポジショニングで活用しよう!
ポジショニングを決定する際に重要なのが、組織内の経営資源の見極めと配分です。
どの部分に経営資源を集中させるべきかをよく検討すべきでしょう。
仮にあるスポーツイベントを行って、最初のうちは入場者が集まっていたのに最近は大幅に減少してしまったという場合があるかもしれません。
その際、もちろん原因を見極めて、再度実施することも必要ですが、それでも立て直しができなければ、いつまでも経営資源を配分すべきではありません。
反対に、現在、伸びているイベントなどのスポーツプロダクトがあれば、さらに顧客数を増やすために、経営資源の配分を増やす必要があるかもしれません。
そこで参考にしたいのが、PPMです。
これは、「プロダクト・ ポートフォリオ・マネジメント」を略した言い方で、ボストンコンサルティンググループ*が、提唱した考え方です。
ポートフォリオとは、配分という意味です。自社の多様なプロダクトを位置付け、それをもとに戦略を立てる手法です。
プロダクトの位置付けに基づいて経営資源(ヒト・モノ・カネ)の配分を決定します。
その巧拙によって企業の命運が大きく左右されることになります。
位置付けはマトリックス上で行います。
PPM:STPパラダイム【Stars(花形製品)】
いま、最も勢いのあるプロダクトです。
成長している市場全体のパイの中で高 いシェアを取っているということです。
企業にとってはまさに花形というべき プロダクトです。
しかし、市場全体の成長に自社製品の成長が遅れをとるような ら問題です。
しばらくはCash cowsからの安定的な資源供給が必要となります。
PPM:STPパラダイム【Cash cows(金のなる木)】
市場自体の今後の成長性はあまり期待できません。
しかし、これまでに着実に利益を上げてきたプロダクトだといえましょう。
企業は、この安定的に資金を背負って運んできてくれる「牛」(cash cows)を大切にしなければなりません。
今後、市場自体の成長があまり見込めないので、市場のシェア争いは一応勝負あったという感じです。
もちろん、油断禁物ですが。企業としては、このCash cowsを当面、しっかり守らなくてはなりません。
そして、将来を見据え、Stars やWild catsなどを次なるCash cowsに育てるような資源配分が必要となります。
PPM:STPパラダイム【Wild cats(問題児)】
市場の成長率は高いのにシェアがうまく取れないプロダクトです。
このプロダ クトの将来性は未知数です。
そのため、Question marksと呼ばれたりもします。
このプロダクトは、将来のCash cowsとなる可能性とdogsになる可能性が、相半ばしている状態です。
企業としてはプロダクトの将来性を見極めながら、堅 実に資源配分する必要があります。
PPM:STPパラダイム【Dogs(負け犬)】
ここに位置付けられたプロダクトは、シェアを取りきっていません。
そればかりか、その市場全体の成長すら見込めない状態です。
通常は単純化つまり切り 捨て対象のプロダクトとなります。
ただし、「枯れ木も山の賑わい」で、その存在が企業のマーチャンダイジング、つまり製品化計画の上で、重要な意味を持つ場合もあります。
また、ネット販売 などでロングテール*が期待できる場合もあります。
ネット販売で世界最大のアマゾンドットコムの書籍部門では、売上ランキングの13万位以下で全体の3分の1近くの売上を上げていたのです。
このようなケースでは、負け犬商品を温存しておくことも一つの戦略と考えるべきでしょう。
*ボストンコンサルティンググループ
米国の戦略型コンサルティング会社。1963 年設立。戦略型コンサルティング会社。
*ロングテール
日頃はほとんど売れないような商品でも、それらの売上を寄せ集めれば、莫大な利益を生むという現象。