ホスピタリティ産業の主力商品
スポーツビジネスでは、関連グッズなど何か特定の形あるモノを除けば、試合を開催したり競技の技術を教えたり、という無形サービスを提供することが商品となります。
つまりスポーツビジネスの主力製品は無形サービスということになります。
このようなサービスを提供することを主とする産業を、フィリップ・コトラーは、ホスピタリティ産業と呼んでいます。
旅行先での体験を提供する旅行業も同じくホスピタリティ・サービスを提供する産業の一つといえます。
コトラーは、これらの産業には実際にモノを提供する産業とは少し異なるマーケティング戦略が必要と考えています。
コトラーの名著、『ホスピタリティ&ツーリズムマーケティング』では、そうしたサービスのマーケティング、とりわけホスピタリティ産業や旅行業のマーケ ティングについて詳しく述べられており、非常に参考になりますので、そのエッセンスを紹介しておきましょう。
コトラーの定義を具体的にいえば、ホスピタリティ産業とは、人的な接客サービスを提供することがメインとなる業種の総称です。
宿泊業、旅行業、飲食業などが含まれます。
また、教育や医療、福祉、エンタテイメントビジネスなども含めて考える場合もあります。
スポーツビジネスにおいても、サービスという点でこれらの業種の取り組みを広く参考にすることをおすすめします。
顧客第一主義を特に重視
サービス産業、とりわけホスピタリティ産業では顧客第一主義が特に重視さ れます。
その理由は、顧客がプロダクトの一部となるからです。
コトラーは、サービスもモノと同じプロダクトという捉えかたをしていますが、サービスというプロダ クトは、形自体はありません。
つまりサービス=無形のプロダクトを取り扱っているというわけです。
しかも、その場に顧客が居合わせて初めてサービスを提供できることになることから、顧客との関係性が非常に重要となります。
つまり、顧客との関係が良 くないとサービス自体の価値が下がってしまうのです。
この点が、コトラーがホスピタリティ産業や旅行業で顧客第一主義を重視すべきとする所以です。
*CS Customer Satisfaction の略 。